木竹について

 

  • 日本は水平方向には南海の島々から北海道まで二千数百キロに及ぶ長い列島です。 垂直方向には高山を抱え、適度な降水と変化に富み四季に恵まれています。現在でも森林の占める面積が70%近くに及び竹林も北海道を除き全国的に展開しています。このような背景のもと古来より連綿と様々な生活用具・民具・工芸品等が育まれてきました。

     

    東日本支部木竹工部会には重要無形文化財保持者(人間国宝)の勝城蒼鳳(竹工芸)・藤沼 昇(竹工芸)・須田賢司(木工芸)をはじめとして関東・甲信越・東北・北海道に在住している作家が約60名在籍しています。

竹工芸

竹工芸においては、縄文時代にはすでに竹編みの容器がみられます。
正倉院の作品はもとより、平安時代の華籠(けご)の作品もありますが室町以降は、茶道具としても用いられるようになり、茶杓、花入、花篭、台子、提籃(ていらん)等の多様な作品が作られてきました。
その技法は、日本的な特色を示しつつ技術的にも多様な展開をして、現代にまで受け継がれています。 技法としては編組品、丸竹組物、平竹組物等に大別されています。素材としては真竹、黒竹、孟宗竹、淡竹、根曲竹、煤竹などがよく用いられます。仕上げは素材のままのもの、染色をしたもの、拭漆を施したものがあります。

編組品

竹工芸の中心となるのは編組品で、充分に乾燥させた竹を油抜きにし、表皮を削り、細割りして材料の巾と厚みを制作する作品に合わせて整え、底編み腰上げ、胴編み、縁造りという工程を経て立体的な作品に仕上がります。
染色する場合は、材料を先に染め分ける先染めと、仕上がった作品を染める後染めがあります。先染めの場合は数種の色彩を作品の中に組み込む事ができます。
後染めの場合は、同一色に染め上がります。

 
藤沼 昇

  • 網代編盛藍「幸輝」

組物

丸竹、平竹の組物の場合は作品を数種に分けて制作し、それを組み立てるという技法で自由な形を作り出すのに向いています。
編組や組物の竹の織り成す線や編み目の美しさは繊細で上品な趣きがあります。またその技法は種類も多く各地で独自の発達をしており、その呼称も様々です。この様に竹工芸の作品にはいくつもの技法が組み合わされて制作され、それが作家の個性ともなっています。

 
田中旭祥

  • 千筋組一文字盛「夜光」

木工芸

正倉院には数々の木工芸品が残されており、優れた工芸の伝統が受け継がれています。この伝統を継承しつつ一層錬磨し、技術的、芸術的に優れた作品を創作しようと励んでおります。技術的には、指物、刳物、挽物、曲物の4つの技術が有ります。

指物(さしもの)

指物は手箱や、文机など板を組み合わせて作る技法です。
二枚以上の板を並べて一枚の板を作る矧(はぎ)合わせ、板と板を直角に組む組接、柱と柱をホゾで接合するホゾ接ぎがあります。

 
菅原伸一

  • 神代杉象嵌箱

刳物(くりもの)

刳物は盛器、盆など一木の素材を、刳って鉋(かんな)、鑿(のみ)などで成形します。自由な形が成形でき刳物ならではの造形ができます。

挽物(ひきもの)

挽物は大まかに木取りした材料を木工(もっこう)轆轤(ろくろ)にかけ、材料を回転させ、それに刃物を当てて成形します。丸い形の盆、椀、鉢等の量産に適しています。

 
玉井智昭

 栃造蓋物

曲物(まげもの)

曲げ物は薄い板を熱湯で処理し、木繊維を柔らかくして、成形し、円筒等を造る方法と、薄い板に鋸を入れて、切断することなくごく薄い繊維を残し、角度をつけて曲げる方法があります。

出品される皆様へ

搬入する際の箱について
・作品は、必ず布で包み外箱(共箱か木製の箱、又はそれに準ずるしっかりとした箱)に入れて搬入して下さい。
・作品と外箱の裏には作者名、作品名を明記して下さい。
・花籠や挽物の様な円形をした作品は、四隅に、又大きめな箱であれば全体にパッキンを入れて作品の移動を押さえて下さい。
・輸送搬入の場合はさらに外箱を段ボールに入れ、パッキンを詰めて、安全な輸送を心がけて下さい。
・受付の際に破損のある作品は受理できません。
・段ボール箱に粗末に入れただけで搬入される方がたまに見受けられますが、大切な作品ですので、作家自身の自覚を持って搬入して下さい。